テクノーラ社-社内報
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■ INTERVIEW : 013  

横山さよ子
色彩設計

インタビュー 04/03/10

1.アニメ『プラネテス』の色について、全体としてのコンセプトは何でしょうか?

日常生活でのシーンのコンセプトは、ごくごく普通に。
アニメ的服装の色使いというよりも現実社会で私たちが着ている服装を意識したつもりです。
宇宙でのシーンは対象的に異世界、けれど仕事場であることを意識しました。宇宙は一歩間違えれば危険で怖ろしい所なので、冷たい、寂しい、などの感じを出せれば良いなと欲張りましたが、いかがでしたか?

2.原作モノですが気を付けたことはありますか?

原作のイメージが綺麗に出来上がっているので、なるべくならそのままのカラーリングにしたい、近付けたいと思いました。
タナベの私服のピンクはかなり悩みましたが、やはりヒロインなので・・・、ごめんなさい。

3.宇宙を舞台にした作品ということで、何かポイントはありましたか?

ポイントというよりも難しかったです。(まだ続いていますが)
超未来なら何でもあり!と割り切れる所ですが、手に届きそうな未来というのは、なまじ嘘がつけないので困りました。
宇宙やスペースシャトルの打ち上げとかTVで見るだけの世界だったのに、今度は自分でも理解しないといけない!とんでもない仕事を引き受けてしまった!と青くなりました。
2スタ(注:プラネテスを制作しているサンライズ第2スタジオの略称)のスタッフと行ったNASDA(現JAXA)見学はとても参考になりました。ほとんどのものが白、グレーの世界なんですよ。で、時々ド黄色の足場が組んであったりして、
「どうして黄色なんですか?」
と聞いたところ、
「サビ止めかな。」と、とても現実的な答えでなるほどと吹っ切れました。
さらにデザイナーの高倉さんに、
「監督には内緒ですが、メカで困ったときはグレーに塗ってます。」
と、懺悔したんですが、
「でもね。それ正解だよー。」
と、言っていただき、かなり吹っ切れました。監督、ごめんなさい。

4.監督からの注文はありましたか?

たっくさんありました。一人一人プチドラマがあるんですよ。時間があれば全部お話したいくらいです。個人的にお気に入りは#13のハチマキの旧友。コンセプトは田舎のジェームズ・ディーンです(笑)
それはさておき、注文としては、自然光の場所(デブリ課など)は、芝居のジャマならない影付けをして欲しいと言われました。ですので、最近の流行り(?)だと、ノーマル部分と影部分でしっかり差のある作品が多いのですが、プラネテスはあまり差のない弱めの影付けにしてあります。
個人的にも、千羽さんのキャラを見た時に“芝居をさせたいキャラだ”と思い、芝居のジャマになる主張しすぎる色も避けました。逆に宇宙はしっかり影をつけて対象的にしてあります。

5.色彩設計という仕事のやりがいは何でしょうか?

やりがい?あまりむずかしいく考えてはいないのですが、“うれしい、楽しい”という事では、自分が参加させていただいた作品を子供たちが楽しそうに話していたり、大事におもちゃを持っていたりするとホントに嬉しいです。キャラクターTシャツを着ている子を見たら涙出ちゃいますネ。こんな事もこの仕事の特権ですね。プラネテスTシャツを着た子供はちょっと恐いですが・・・。

ありがとうございました。

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