テクノーラ社-社内報
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■ INTERVIEW : 011  

大矢創太
撮影監督

インタビュー 04/02/10

今回はアニメ『プラネテス』の撮影を担当している「アニメフィルム」にお伺いして、現在のアニメの撮影の様子など、撮影監督の大矢創太氏にお話を聞いてきました。

【質問1】
現在のアニメ制作おいては、昔ながらのセル画を一枚一枚撮影していくという方法は使われなくなりました。実際、現在のアニメの撮影とはどの様なものなのでしょうか?

以前は高さ4メートルぐらいの大きな専用台を使って二人一組で、背景さんが描かれたBGと仕上げさんが塗られたセル画を台の上で重ねあわせ、ライトをあてて、フィルムに撮影していました。特殊なフィルターをレンズの前において画面の質感を変えたり、台の下からライトをあてて、部分的に光って見える様な処理(透過光)をしたりしていました。デジタルになってからは、全ての素材がデジタルデータになったので、パソコンソフト上で疑似的な撮影台を作って、そこで撮影しています。


【質問2】
コンピューターを使用しているとのことですが、ソフトなどはどの様なものが使用されているのでしょうか?

普段使用しているソフトは、コアレタスとアフターエフェクツです。
特殊な処理がないカットはコアレタスをつかいますし、ちょっと複雑なカット内容になったり、エフェクトが必要になったりする場合はアフターエフェクツをつかいます。透過光処理がある時はアフターエフェクツで処理したマスクをコアレタスで合成します。地球やステーション3Dには3Ds maxを使っているそうです。(地球とステーションはサンライズデジタル映像開発部で制作)



▲フィルム撮影時のカメラ

【質問3】
『プラネテス』ならではの撮影処理などはあるのでしょうか?

ハチマキ達が宇宙に出ると着ている宇宙服の反射板(白く四角い所)が光ります。宇宙服の中から、反射板の部分だけを抽出して処理を加えます。仕上げさんにも協力してもらって、反射板の部分を抽出しやすくしてもらってはいますが、カット数が多いので大変です。できればハチマキ達には宇宙に出ないでいて欲しいです。無理に決まっていますが…。



▲スチール専用の撮影台

【質問4】
アニメの撮影のやりがいは何でしょうか?またつらい所はどこでしょうか?

やりがいは、時々ですが、特殊効果を加えた事によってそのカットの完成度が上がった事を感じられる時です。
つらい所は…とても処理できない量を期日(大抵は数時間後)までに撮影しなくてはならない時でしょうか。進行さんから材料を受け取ったあと「いやいやこんなのできる訳ないだろう」と、とりあえずぼやいてから作業にはいります。
『ま○んとメ○ン』という作品の時は2〜3日徹夜した後、放送日の午前中まで撮影していました。
やりながら本当に終わるのかと本気で思いました。
『プラネテス』はリテークの数が他作品の2〜3倍はあって、こんな細かい所を直すのか、と思う事が多いです。
いずれにしても、いいものができあがった時が嬉しいというのは他の工程の方と同じですね。


ありがとうございました。
なかなかにシビアなご意見でしたね。普段のご苦労が伝わってきますね。
撮影というのはアニメの制作工程でもラストに近いので、スケジュール的なシワ寄せが一番行く所なのです。本当にありがとうございます。
昼班と夜班に分かれ24時間体制で稼動しているアニメフィルム。アニメ『プラネテス』は、その撮影技術に支えられているのです。
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