テクノーラ社-社内報
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■ INTERVIEW : 010  

中川幸太郎
音楽

インタビュー 04/01/10

1.中川さんは、同じく谷口監督作品の『スクライド』でも参加されていますが、アニメ『プラネテス』に関わることになったキッカケは?

 監督の谷口さんが、僕のことを推して下さったと聞いたのですが・・・本当ですか? 本当の話であるなら、メチャクチャ嬉しいのですが。今度お会いしたら、勇気を出して聞いてみます。そういった意味では、『スクライド』に参加したのがキッカケだと言えるのではないでしょうか。皆さん谷口監督のことは御存知だとは思いますが、監督の作品にかける情熱・愛・意気込み等々、言葉を挙げ始めるときりがないほどのものを、いつもお会いする度に感じています。打ち合わせの後には必ず「監督の為に絶対いい音楽作る!!監督の作品への愛に絶対応えてみせる!!」そういう気持ちにさせられてしまいます。久しぶりに心の中の鐘が鳴る音を聴いたように思います。正直、この音が聴こえてきたのは『スクライド』以来の事だったと思うのですが…

2.アニメを見ての率直な感想はいかがですか?特に曲の使われ方についてなど。

 とてもおもしろいです。こんな言い方だと社交辞令のように思われるかもしれませんが、違います。断じて、違います。筋金入りのアニメファンを自認する僕が言うのですから、間違いありません。登場するキャラクターも感情・表情豊かで、さらに音楽が素晴らしいタイミングで聴こえてきて!物語をさらに膨らませていると思います(自画自賛入っています。スミマセン)。

3.今回は和楽器を使用したり、他とは変わったテイストですが、何か曲作りでイメージされたことってありますか?

 宇宙って、暗くって孤独で。もちろん、叫んだって声も届かない。何かちょっとしたアクシデントでも起きれば、スグ命にかかわってしまって。普通に考えたら、そりゃとんでもない!場所なんだけど、そんな場所に魅入られてしまった、そりゃまたとんでもない!人たちがいる。そんな場所&人たちを表現したくって、和楽器に登場してもらいました。尺八・笙・三味線。この三つのサウンドが、何かに取り憑かれてしまった人間の盲目的な心情や、人間の浅い企みから、愛・尊敬・恐怖・嫉妬・怒り・悲しみなど、様々な感情まで飲み込んでしまう宇宙の深淵。これらの象徴として演奏してもらっています。僕の音楽から、何かを感じ取って下さる方がいらっしゃれば幸いです。

4.アニメの音楽を作ることに関する難しさ、または楽しさといったことはありますか?

 一つの作品が完成するまで、たくさんの人達が関わっています(僕が詳しく認識しているのは音楽のみなのですが)。音楽のおはなしをさせてもらうと…40人以上のミュージシャンが、一つの到達点目指して一生懸命演奏してくれます。想像してみて下さい。皆さんがテレビやCDから聴こえてくるサウンドは、それぞれ最高のテクニックと最高の情熱を持った40人の集大成なのです。もちろん演奏してもらうのは、僕のスコアーです。作曲家の仕事って、最高でしょ?アニメは、どんな音楽でも受け入れて、作品の一部にしてしまう懐の深さがあると思います。この深さが、楽しさであり難しさになります。いいかげんな音楽では、しっかり作り込まれた絵にはじき返されてしまいます。特に今回は谷口監督の作品です。魂込めて作り上げました。

どうもありがとうございました。

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