テクノーラ社-社内報
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■ PHASE-14 編集(カッティング)


 

 

「なんとか、撮影も全カット無事に終わりましたね」
「ムホホムホ(リテイクもかなりあったけど、ま、なんとか直せた感じだ)」
「じゃあ、早速テレビ局に持っていきましょう!」
「全然ダメよ」
「ムホン?(えっ?何で?できたんだよな?)」
「各カットがバラバラだし、今はコンテ通りに作られてるから尺(秒数)も長いの」
「ムホ?ムホホ?(何?どういうこと?)」
「テレビ局にはそれぞれ放送用のフォーマットが決まっているわ。例えば、オープニング、本編、CM、本編、エンディング、予告といった、それぞれの時間とそのトータルの時間が決まっているのよ。通常、コンテ時はそれに対して1分から1分半くらい長くなる様にしてあるの」
「ムホンムホ(そうか。じゃ、後の番組をずらそう)」
「……。だから編集という作業が必要になるわ。編集スタジオに監督、担当演出が行って編集さんと一緒に作業を進めるのよ。まず、コンテの順番にカットを組んで、フォーマットより多い分の尺を出すの。実際に作画を進めていくと、コンテの尺とは変わっていくことが多いから」
「作画時や、演出時に変更が出るんですね」
「そうよ。そうしたら実際に長さを調整するの。全体のリズムだったり、心情の表現といったことを考えて削っていくのよ。カットやシーンの順番を入れ替えたり、まるごと無くしてしまったりすることもあるわ。アクションなどは、たった1コマで印象が変わったりするの。編集の仕方によって全体の印象が全く変わってしまうから、すごく重要な作業と言えるわね」
「モホゥムホ(ホホゥ。それで、さっき言ってた尺ってのは、フォーマットとかに合わせなきゃならんのか)」
「1秒のズレも許されないわ。完全にフォーマット通りにするのよ」
「尺もピッタリ、リズムとか心情も完璧となったらOKなんですね〜」
「ムホムホ(どっかで編集のことをカッティングって言うって聞いたことあるのだが)」
「ええ。デジタル化する前にフィルムで作業をしていた時、実際にフィルムをはさみで切っていたのよ。だからそう言うの」
「ム〜ホ…モモ?(これは聞かねばなるまい……線撮りって何?)」
「何が“聞かねばなるまい”なのかわからないけど、線撮りというのは、レイアウトや原画の絵をそのままスキャンして、予定の秒数だけ並べて撮影し、擬似的にフィルムを作ったものを言うのよ。色が塗ってなくて線画だけの状態だから線撮りというわけ。レイアウトをスキャンしたものをレイアウト撮、原画だと原撮というように、撮った工程によって違う呼び方をしたりするけど」
「ムホンムホン?(なんで、そんなものを作るの?)」
「スケジュールがきつくなってくるから、仕方なくよ。あとで出てくるけど、編集の後の工程であるアフレコやダビング(映像に合わせて、役者の声や音楽、効果音を入れること)という作業をするために、ある時点には尺を決定した映像素材が必要になるの。それまでに素材が間に合っていない場合、その時にある素材で線撮りを作って編集をするのよ。で、それらを作業している間に他の作業を同時進行で進めるの」
「ムホ?ムホホ?(あれ?でも線撮りだと、間に入る動画が無いし、わかりづらくない?色がついてないと、その物がどういう素材でできてるかとか、わからないしさぁ。音もつけづらいでしょ)」
「(嫌な聞き方するわね。この動物はっ)だから仕方なくよ。線撮りを使う時は、あとの工程の方々にとても申し訳ない気持ちでいるのよ。でも、工程が進んでいく途中で完成したカットは線撮りのカットと差し替えていって、少しでも色のついた状態で作業してもらう様にはしているの。その差し替えの作業も編集さんにしてもらっているわ」
「ムホンムホン(ま、でも今回は全部色がついてて良かったっすね)」
「さんざん言っといて軽いね、ノーラくん」
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