テクノーラ社-社内報
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■ PHASE-10 動画・動画検査


 

 

「原画もだいぶ集まってきたね。ノーラくん」
「ムホホムホ(そうだな。原画マンが行方不明になっちまって振りなおしとか、いろいろあったけどな)」
「この仕事やると、宅急便とか、思いもよらない方法で送れるのが分かって面白いよね」
「ムホホ(月まで原画回収とか、言葉だけ聞くと冗談みたいだよな)」
「夢があるんだか無いんだかわからないね」
「ムホホム〜(回収なんてことやってること自体、この時代的にどうかという話もあるがな〜)」
「はははは(笑い)」
「ムモモモ(笑い)」
「はい。バカなこと言ってるとバレーボールでしばくわよ」
「あ、クレアさん。原画なんですけど、レイアウトの時と同じ様に、演出チェック、作監チェックが終わったらどうするんでしょうか?」
「原画作監の次は、その絵を統一しつつ、動きの間をうめていく、動画という作業をします」
「あっ、TVで見たことあります。パラパラ〜ってめくっていくと、動いて見えるんですよね〜」
「動画会社、もしくは個人の方に原画を持っていって、作業枚数とスケジュールを伝えて発注するのよ」
「ムホホホ、ムホ(一枚一枚、手作業だもんな〜。アニメってのは、手間も時間も金もかかるんだね〜)」
「私、子供の頃、TVアニメって1週間で作ってると思ってました」
「ムホムホ〜(ははっ、ありえね〜)」
「1週間では作れないものを、1週間おきに放映するんだから、前もって作り始めるし、スケジュール管理は重要ね」
「…で、動画なんですが、誰に出しましょうか?」
「そうね。この紙の番号に電話してみて」
「……番号って、これハチマキ先輩の番号ですけど」
「そうよ。ハチは動画をやってるの」
――――――――ハチマキ私室。
「…というわけで、これお願いします。先輩」
「先輩はやめろよな。今は発注者と受注者なんだからよ」
「っていうか、先輩、動画やってるなんて、全然教えてくれないんですもん」
「先輩はやめろって」
「じゃあ、八郎太さん」
「その呼び方は、もっと、ダ・メ・だ」
「…モモホホ?(…なあ、八郎太さんよお。聞きたいんだが、動画ってのはどういうもんなんだい?)」
「なんだ?こいつは」
「ノーラくんですよ。見たことないですか?」
「いや…、もういい」
「そうそう。私たち動画のことってよくわからないんですよ。教えてください」
「…ったく。いいか、動画ってのは、絵を統一しつつ、原画と原画の間の絵も描いていくんだ」
「そこまではクレアさんに聞きました」
「原画の動きの間を描くと言っても、新しい絵でうめていくわけだから、ここをいいかげんにやると、アニメーションとしては死んじまうんだよ」
「なるほど〜」
「ほんとにわかってんのか?でだ、描き終えても、すぐに色を着色するってわけじゃない。色のぬりわけや、抜けているパーツがないか、絵自体がおかしくないかなどを確認する必要がある。だから動画は出来上がったら、動画チェックの担当者に検査を受けるんだよ」
「ムホホ、ムホ?(そういうのは、やっぱ動画の上手い人がやるのか?)」
「まあ、そうだな。『プラネテス』じゃ、ベテランの人がやってくれてるんだ。あと、動画経験者が原画になることが多いから、下に見られがちだけど、役職としては原画と同等だ。動画のベテランになると、1日に何百枚どころか千枚以上チェックして修正した上に、原画時に不備があったものを直してくれたりもするんだよ」
「ムホホ?(それは凄いが、仕事やらせすぎじゃないか?)」
「先輩はアニメやって何年になるんですか?」
「まる3年、4年目だ」
「ムムホン、ムホン(そろそろ、人生について考えちゃう年ですな〜。アニメでも、始めて1年、3年、30歳前が悩み時だからね〜)」
「先輩には愛があるから大丈夫ですよ。ね」
「モモン、モン(愛ね〜。愛で仕事できりゃ、苦労しないね〜)」
「愛があれば仕事もできます!」
「…だぁ〜!オレはこれから仕事するんだっ。出てけ!」
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