テクノーラ社-社内報
>> TECHNORA TOPへ
>> アニメ制作課 TOPへ
■ PHASE-6 レイアウト


 

 

「ギ、ギガルトさん!?」
「ムホ、ムムホ…(ギガルトぉ?するとこいつがあの、一ヶ月に作監を5本こなしたっていう…)」
「武勇伝は聞いてます。ギガルトさん」
「ああ。ここにいる白鳥さんにいい作品があるって聞いてな〜。いてもたってもいられず来ちまったよ」
「ちょうどいいわ。演出さんもいることだし、今、作打ちしましょう」
―― 50分後 ――
「じゃあ、10日後にレイアウトUPで、さらにその10日後に原画UPということで、よろしくお願いします」
「ムホ、ムホホ(この業界の人間って『よろしくお願いします』って多用するよな。あと、挨拶も基本的に『おはようございます』なんだよな。夜中の3時に「おはようございます」っていわれた時にはどうしようかと思ったよ)」
「便利だからよ。それではよろしくお願いします。ギガルトさん」
「おう。今日から作業に入るから、明日、回収に来てくれていいぞ。それじゃあな。エンジェル」
「………全身からエネルギーが溢れてる人でしたね」
「ムホホ(明日来いって言ってたけど、明日もう終わってんのか?)」
「そうじゃないわ。上がった端から回収するのがやり方なのよ」
「ムーホ、ムホ(う〜む。大急ぎな仕事の仕方なんだな)」
―― 翌日。ギガルトの私室。 ――
「よぉ〜。来たか。エンジェル〜。それと〜…誰だったか〜…」
「ノーラムホ(ノーラですが…)」
「早速、レイアウトの回収に伺いました」
「おぉっ。そうだったな。…ほら〜よ。5カット上がってるよ」
「ありがとうございます。……あの〜。すみません。レイアウトって何なんでしょう?」
「ん〜?知らないのか?そうか。なら、最初から説明してやろう」
「はい。ありがとうございます」
まず、アニメにおいては、30分番組の一つの話は300位の"カットに分けられる。そこでカット数単位で、俺達原画に担当が配分されるんだ」
「なるほど。ギガルトさんには30カットお願いしてるんですけど、作打ちでその担当範囲を打ち合わせしたんですよね」
「ムホホ(ギャラもカット単位で発生するんだよな)」
「基本的にはな。でだ〜、打ち合わせの後に、原画担当者が一番最初にする作業がレイアウト作業なんだよ。ここで各カットにおける芝居の流れ、必要な背景情報、カメラの位置や場合によってはカメラレンズ…といっても絵として表現するレンズ効果のことだが〜…」
「魚眼とかのことですか?」
「そう〜、そうだ。さらにオフシーン(画面外)の事も考えた上で、登場人物達をどこまで動かすのか、歩いたり走ったりしていればそれはどの程度のスピードなのか、など空間の構成を決め込んでいくんだ」
「そのカットをどういうカットにするか決めるわけですね」
「そのカットだけじゃない。前後の流れやシーン(場面)内での関連、つながりを常に考えて作るんだ」
「ムホ〜(ずいぶん深く考えて描くもんなんですな〜)」
「そうだな。それにキャラクターなどの動きのラフ画もつける。考えるのはもちろんだが、それを表現するための画力も要求されるし、一人の原画としては、如実に実力が出るところでもあるな」
「…で、その出来たものがこの5カット分なんですね〜」
「ああ。そいつはもう渡せるから持っていってもらってかまわないぞ」
「はい!ありがとうございます!」
>> PHASE-7「演出、作画監督チェック」へ