テクノーラ社-社内報
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■ PHASE-4 演出打ち合わせ(演打ち)


 

 

「まずは、演出がどういう仕事をするのか説明しないといけないわね」
「お願いします。全然わからなくて…」
「手っ取り早く言うと、その担当話数の監督のような感じね」
「ムホムーホ(ぶっちゃけて言うと、全然わからんのだが)」
「一般的なTVシリーズ30分、全26話。これを作るためには制作チームをだいたい5班ほどたてるの。1班につき1話ね」
「モモォゥ…(ホホゥ…)」
「1チームのチーフかつマネジャーとして進行がたって、各作画スタッフ、色指定、美術(背景)、撮影、編集と、各工程の担当が割り当てられるの。そして演出は、作品意図を具現化するために各工程の全ての方針を立てて、その話数の作業を進めていくのよ」
「実際にはどんな作業をするんですか?」
「時間的にはレイアウトや原画のチェックに費やされる割合が多いけど、美術や撮影の方針を決めたり、編集作業、録音作業の指示出しをしたり、出来てくる映像のチェックをしたりと、その話数の中心になる作業をするわ」
「責任重大ですね」
「そうね。でも、それは好きにできる範囲が大きいということでもあるわ。大変だけど、やりがいもある仕事よ」
「ムホッ!?(やっぱギャラは高いのか!?)」
「………それはアニメ業界内で比較してということかしら?それとも拘束時間に対して世間の報酬と比較してということ?」
「ム、ムホッ?(い、いやに引っかかるね、クレアさん?)」
「前にも言ったけど、この業界では掛け持ちが当たり前なの。それは一本だけでは食べていけない、ということを表しているとは思わない?」
「ムー、ムホ(うーむ。不景気ということか)」
「それは関係ないみたいね。バブルの時も貧乏でした、という証言もあるし」
「ムホッ?(バブルって、いつの?)」
「今は2076年ですけど…」
「………。そういうわけで、各話を統括する演出に、シリーズ全体を統括する監督が作業方針などを受け継ぐ打ち合わせを、『演出打ち合わせ(演打ち)』というわけね」
「ムホー!(突っ込みはスルーですか!)」
「それで…、今回の演出さんは誰なんですか?」
「予定ではもうすぐ来るはずだけど」
「どうも、遅くなりました」
「ユーリさん。どうしたんですか?ここはデブリ課じゃ…あっ、もしかして!?」
「こちらユーリ・ミハイロコフさん。演出をやってもらうわ」
「えぇっ!ユーリさんなんですか!?」
「ムホ、ムホホ、ムホ?(おいおい。大丈夫なのか?演出って誰でもできるわけじゃないよな?)」
「実は昔、放浪してた頃アニメを作ってたことがあってね」
「ムホ、ムーホ(うーむ。謎の放浪期間だな)」
「(ユーリさんもノーラくんの言葉わかるんだ〜(感心))」
「ムホッムホホ(演出ってオレでもなれるのか?オレやりたいんだけど)」
「あなたアニメのこと何もわからないでしょう。無理ね」
「……!!」
「演出ってどんな人がやってるんですか?」
「アニメの制作進行からなったり、原画の人がなったり、撮影の人がなったりいろいろね。割合としては制作から演出が比較的多いみたいだけど」
「演出と名乗るのは誰でもできる。仕事が来るかはわからないけどね」
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